百舌に早贄にされる。

百舌P 彼女の秋の芋、彼女の春の霜


百舌Pの四季シリーズも一先ずは完結ですかね。夏の城、冬の色、秋の芋、春の霜と、タイトルで綺麗に韻を踏んでいるところも百舌Pらしいですね。また、それぞれのペアリングもみきりつ、あずいお、やよまこ、ゆきちは、とメインストリームを外したところで2人の絡みをしっかりと描いているのが素晴らしい。年頃の女の子達の繊細で瑞々しい感情を織り込みながら、それぞれのアイドル達の日常を紡ぎ上げていく。本当に魅力的なシリーズです。
「秋の芋」では一つ一つ積み重ねられていく真の感情に温かくひたりながら、ラストの一言でがらりと印象を変えてしまう。
「春の霜」では雪歩の想いと千早への憧れと葛藤に思いを馳せさせながら、ラストの靡く雪歩の髪と通り過ぎる春風とつばめの鳴き声が、それらをひっくるめてより遠くの空へと攫っていってしまう。
この只では終わらぬ物語の締め方が実に好き。
「春の霜」に「キャラクターの心情を探るのがとても楽しい」と言うコメントがついていて、本当にそうだね、と共感しました。語られている相方もさながら、一人称で語る本人の心情も百舌Pは具体的には表現しません。その仕種や表情から、その複雑であろう心情を探り、読み取ろうとする事。それがより、彼女達に親近感を沸かせ、魅力を引き立ててくれるのでしょうね。
大好きなアイドル達を瑞々しいままに心に届けてくれる。これからも百舌Pのご活躍を楽しみにしております。