映像の魔弾。

FRISKP 「I WANT ■■■」

かの「Five」の系統の画面分割とカット割と歌詞タイポをメインとしたPV。しかし、このPの凄いところは本筋に入る前の導入部、スローダンスの20秒のカッティングで既に目を釘付けにしてしまうところ。
画面に横溢するタイポグラフィに寸分たりとも劣らぬ春香さんの強度を維持するこのカメラカットがまた凄まじい。

そして暗から明、部分から全体へとその対比をあまりにも鮮やかに使いこなすこの一連のシーン。絵になるダンスを絵になるままに、しかもスローで強度を増して持ってくるこのセンス。


1:32-からの5分割のカットはまさに「Five」を彷彿とさせる画面構成、デザイン力の格を見せ付けるシーン。

そしてラストに向けての春香の冷たいキレ味の冴え。氷の剣のような鋭さ。



しかし、このラストカットで、本来ならば春閣下爆誕とでも叫ぶシーンの筈が、どうしてもそうはならない。既にタイポグラフィと共に春香の存在は画面構成の一部として象徴化してしまっているようで、そこには従来の春香さんや春閣下などと言うキャラクター性は既に不要のものとなってしまっている。それくらい研ぎ澄まされた無駄の無い構成であり、動画としての力だけで刺しに来る、そんなPVでした。映像の魔弾。★★