とのばな。

一年に何回か、時間のある時にノベマスとかをちょっと見ようかな、と思うと大抵NP氏の本棚さんのところをぱらぱら見たりしながら、サムネを開けたりする。
で、幾つかあけたサムネの中にガルシアPの「仕事中毒の先輩と、恋に破れたアイドルの話。」があって読んだわけです。

個人的にはニコマスを見る際にはかなり保守的で、あまり派生モノは見ないんですね。魔王エンジェルとか、961プロものとか、DS組でも舞さん系統に派生したモノとかはあまり食指が動かないわけで。まあ食わず嫌いなんですけど。
この動画に手を出せたのは、そう言った先入観を与えるものがあまり無かったのが幸いしたのかもしれないですね。後はタイトルのセンスの良さかな。そっけない感じの洒落たタイトルが心を擽りました。
で、読み出すと、鬼ヶ島さんがプロデューサーだったり美希が事務員だったり、でそこから昔話になったりで、成る程興趣を引くストーリィ。章立てのように、定期的に語り目線が変わるのも目先が変わっていい。そしてそれを語る、無駄が無いのに行間を読ませる余裕のある文章は、ドラマティックで何かを追い立てるようなBGMにとても良く合っていました。ただ最後まで読んでも例のプロデューサーがなかなか手術を受けられなかった理由が良く解らない。で、良く見直すとシリーズものだったので一話から見る事にしました。
結果的に上記の理由は解らなかったのですが、全体の話の構成からすると以降の話の伏線のようです。
シリーズ全体を見通して見ると三話がやはり一番盛り上がるところでしたね。ダイヤの原石の話も良かったですが、光のボーカルの出来と彼女の背景を知っている事の、その両者を鑑みて席を立ってしまい、後からそれに葛藤する審査員。そのまさしく行間を読ませる描写はとても素敵でした。
してみると四話は、光と鬼ヶ島さんの始まりの話から転として動く話だったわけで、1から見出すには都合の良いところだったのかも知れません。ラッキー。
とにかく重い話の枝葉については導きはするものの多くを読者の想像に任せながら、本文本筋は只管に密度を高めテンポを崩さず、如何にして読ませるかと言う事に力を置くそのセンスには脱帽でした。
ノベマス界隈では今更と言うように、かなり人気があるらしいこのとのばなシリーズ。百舌Pと共に新作の楽しみなノベマスPさんがまた一人増えたのは嬉しい限りです。